大塚の家|藁床畳
大塚の家の広間は畳敷き。
床座好きのSさんに「昔ながらの藁床畳って柔らかくていいんですよ~」とおすすめしまして、今回は常陸大宮の河野さんに藁床畳をお願いしました。

眺めのよい縁側のような畳の居場所が落ち着きますね。
そしてイ草の香りもまた良いです。
今回は藁床畳のことを少しだけお話しします。
最近の畳は、建材床と呼ばれる発泡プラスチックで作られる板にイ草や和紙で出来た畳表を張って作られることがほとんどです。寸法も安定して、早くたくさん作るには最適な作り方だと思います。
それに比べて藁床という昔ながらの畳は、まず米農家の方が収穫後の藁を天日干しするところから始まります。田んぼにおだがけで干されている藁を見たことがあるかもしれないですが、あの藁が藁床の原料になります。
今は収穫後の藁は粉砕して田んぼに撒かれることが多く、まず綺麗に天日干しされた藁を探すことが大変。以前かかし祭りの実行委員の方とお話しした時も、かかしの藁がなくて大変なんです・・と伺いました。
河野畳店の河野さんは、前からきれいな藁を大切にストックしてくれているのと、近所の農家さんが毎年藁を天日干ししてくれるため、藁床の生産が可能になっています。なかなかこのような藁をもっている方も少ないそうで、本当に貴重な存在になりますね。

さてでは藁床の作り方ですが、写真のような長い機械を使って藁を縫っていきます。
手前から奥に向かって流れていくのですが、
1.藁床の下面になる藁を敷き詰める
2. 藁床の心材になる細かくした藁を敷く
3. 藁床の上面になる藁を敷き、縫い合わせる
という工程で作られていきます。

この写真が、2の細かくした藁を敷きならべているところですね。
床に使えるようにするためには、最低でも1年以上の乾燥期間が必要で、乾燥してればしてるほど良いと教えてもらいました。河野さんのお父さんがストックしてきた藁はしっかり乾燥しているので、とても良いというわけなんです。


この写真が3の工程になりますね。中央に見える機械で藁を縫っていきます。


きれいに藁が縫われていく様子は、見ていて気持ちがいいですね~

仕上がるとこのような感じになります。
これが藁床という下地になりまして、この上にイ草を張って畳の出来上がりです。

大塚の家ではヘリ無しで作ってもらったんですが、これがとても大変。
建材床に比べ、藁床は自然素材なので、ほんの少し伸びたり縮んだりするんです。
その微調整の難易度が高く、大塚の家も丁寧に調整して納めてくれました。
本当に河野さんお疲れさまです。

でもおかげでとても気持ちの良い畳広間が生まれました。
Sさんのお子さんもすっかりお気に入りw