2022-10-06

フィンユールとデンマークの椅子展|東京都美術館

先日は東京都美術館で開かれている「フィンユールとデンバークの椅子」展に。展示の序盤で、デンマークの国土は、九州と同じ位だそうで、人口も600万人。でもなぜその国から、あれだけの素晴らしい椅子等が生まれてきたんだろう??とふと疑問に思いますよね。

1920年代の初頭までは、デンマークは量産の安物家具を作る国だったそうですが、他国でずっと安い家具の機械生産が始まってしまい、これが大打撃になったそうです。それに対抗する新しい手段はないだろうかと・・方針を練った結果、デンマーク王立芸術アカデミーの中に家具科を設立し、そこで家具のデザインと家具作りの人材育成を始めました。そこで呼ばれた講師がコーレ・クリントという話で、なのでデンマークモダンデザインの父と呼ばれているということなんですね。

そして家具科の設立と同じ時期に、40年も続いていく家具の展示会が開かれるようになり、若手デザイナーの発表の場として広がっていくということになるんです。そして1940年代になると、そこからハンス・ウェグナーやボーエ・モーエンセン、アルネ・ヤコブセン、ポール・ケアホルムなどの名だたるデザイナーが生まれていくという、まさに黄金期ですよね。

例えばウェグナーのYチェアは1950年、モーエンセンのシェーカーチェアは1947年、ヤコブセンのアントチェアは1952年・・といったように1940~60年の間に名だたる椅子がデンマークで生み出されていることが展示会をみるとよくわかります。そして今もその椅子たちが多くの人に使われているというのも改めて凄いことだなぁと実感します。

展示されていたデンマークのデザイナー相関図をみると、いかにコーア・クリントが多くのデザイナーに影響を与えていたかがよくわかります。

展示の後半はフィンユールへと続いていきます。
そもそもフィンユールという人は・・というところからみてみると、同じくデンマーク王立芸術アカデミー出身者ではあるものの、コーア・クリントが講師をしていた家具科ではなく、建築科の出身なんですね。そのため展示では、若いころに働いていた設計事務所での仕事も紹介されています。

階段の手摺のデザインからもなんだかその片鱗がみえるような気がしました。
フィンユールが影響を受けていたハンス・アルプのドローイングと自邸に置かれていたカクテルベンチ

当時のデンマークでは、王立芸術アカデミーのコーレクリントが機能を重視したデザイン教育を進めていたので、その系統と異なっていたフィンユールは、ある意味で異端扱いをされているという経緯があったそうです。実際にハンス・アルプやアレグサンダー・カルダーといった芸術家からの影響についても語っていたそうです。

フィンユールの家具を眺めていると、造形的に少し浮かせたような軽快感があったり、特に椅子の側面の姿がとても綺麗だなぁと思いながらみていました。下は有名なイージーチェアのNO.45のドローイングですが、側面にみえる曲線美にその特徴が出ているように思います。

そして展示最後には、フィンユールをはじめ、デンマークの名だたる椅子に実際に座り、デザインを体験する部屋があるんですね。せっかくなので・・と数十個の椅子に順番に座ってみると、色々な座り心地が比較出来てとても面白いです。フィンユールの中でもNO.45は想像以上に座り心地がよくて、最後に体験するとまた椅子の印象も変わるものですね。

今まで見ていた有名な椅子たちが、デンマークの家具の流れの中でつながっていくような、とても勉強になる展示会でした。

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